ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」について書きます。
文庫になっていたので、また、ネットストアのポイントを使って購入しました。
人文歴史が好きな傾向があるため、手に取ってみました。
ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を読んで、人類という存在をまったく新しい視点から見直す機会を得ることができました。
本書は、ホモ・サピエンスがいかにして地球上で支配的な種となったのかを、認知革命・農業革命・科学革命の3つの大きな転換点を軸に描いています。
特に心に残ったのは、人間が「虚構」を共有する力によって大規模な協力を可能にしてきた、という指摘です。
宗教や国家、貨幣といったものは、すべて人間が信じることで成り立っている「物語」であり、それを共有することで見ず知らずの他人とも協力し、巨大な社会を築くことができたという主張には、深く考えさせられました。
また、農業革命についての分析も印象的でした。私たちは一般に農業の発展を「進歩」と捉えがちですが、著者はむしろそれを「罠」とし、
狩猟採集生活に比べて労働時間が増え、栄養状態が悪化し、病気のリスクも高まったと述べています。
このような逆説的な視点は、歴史をより多面的に捉える大切さを教えてくれました。
さらに、本書では「幸福」というテーマにも触れており、文明の発展が必ずしも人間の幸福を高めているわけではない、という問いかけがなされます。
現代の私たちが直面している環境問題や格差、AIの台頭など、今後の人類の選択が問われる局面において、本書の視点は非常に有益だと感じました。
『サピエンス全史』は、単なる歴史の本ではなく、人間とは何か、私たちはどこから来て、どこへ向かうのかを考える手がかりを与えてくれる作品です。
読む前と読んだ後で、世界の見え方が大きく変わったと実感しています。多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
